人間の脳よりも大きい脳を持つ恐竜はいるの?

イグアノドンの頭骨の断面
人間よりも大きい脳を持つ恐竜はいません。ティラノサウルスは人間の何倍も大きな頭の骨をもっているのに、脳が入る空間はたいへん小さいのです。ティラノサウルスの大きな頭のほとんどは、物をかむための筋肉が付くための場所なのです。ティラノサウルスの頭骨内の空間(頭蓋腔)いっぱいに脳が詰まっていたとしても、530g程度です。人間の成人の脳は平均で1,400gありますから、ティラノサウルスの脳は人間のものとはくらべものにならないほど小さいのです。
ところで、脳の入る空間が残っていると、そこに何かが詰まって空間の鋳型(雄型)がとれる場合があります。これをエンドキャストといいます。エンドキャストは、研究用に意図的に液状のゴムを流し込んで作ることもありますし、化石になる過程で堆積物が詰まって自然にできる場合もあります。エンドキャストから脳の形状が正確にわかるとは必ずしも言えませんが、それを調べることで脳のどの部分が相対的によく発達しているなどのおおまかな情報は得られます。
体の大きさにくらべて、比較的脳が大きいのは小型獣脚類のトロオドンです。ある公式にあてはめると、からだの大きさに対しての脳の大きさが求められます。この予測値と実際の値の比較を数字にすると、ティラノサウルスは0.9となり、トロオドンは5.3となります。この値は「大脳化係数」と呼ばれていて、知的能力を示すものと考えられています。この数値の違いから、ティラノサウルスとトロオドンでは、行動にもかなりの差があったと思われます。しかし、恐竜の脳に関するすべての情報はエンドキャストからしか得られず、エンドキャストの信頼性も割り引いて考えなければならないので、「脳や頭のよさ」に関係する話を議論する時には慎重になる方がいいでしょう。
[ 質問のリストへ戻る ]
(2006/09/07更新)
