ペルム紀後期~三畳紀(約2億4000万年~2億前)のアジア南部地域には、古テチス海と呼ばれる海が入り込んで大小の島々がつくられており、そこには原始的な海辺の爬虫類が生息していました。一方、三畳紀後期の陸成層からは古竜脚類や原始的な竜脚類が産出していて、これがアジアで最も古い時代の恐竜となっています。
中国雲南省のジュラ紀前期の地層からは古竜脚類が、また四川省のジュラ紀中期の地層からは竜脚類オメイサウルスや獣脚類ヤンチュアノサウルスなど多様な恐竜化石が発見されています。これらをもとに、ジュラ紀の中国南部ではどんな動物たちが生活していたのかを明らかにします。
また、主に四川省のジュラ紀後期の地層から産出する竜脚類マメンチサウルスが、近年タイの東北部から発見されました。恐竜たちの分布や移動など古地理学的な関連を示す重要な資料としてタイ産の標本(頸椎の一部)を展示します。
白亜紀前期には、竜脚類ではさらに進化した大型のティタノサウルス形類があらわれ、その分布域はアジア南部にもひろがりました。本展ではタイの竜脚類プウィアンゴサウルスと、ラオスで発見された竜脚類タンバヨサウルスを展示します。福井県産でほぼ同時代の近縁種である竜脚類フクイティタンの前肢と後肢をあわせて展示します。
獣脚類は肉食性ばかりではありません。いわゆる肉食性ではタイ産カルカロドントサウルス類とシャモティラヌスが、魚食性ではラオス産スピノサウルス類イクチオベナトールとタイ産シアモサウルスが、白亜紀後期の初期には草食性の中国浙江省産テリジノサウルス類が発見されているのです。
白亜紀前期に生きていた動物群として、タイとラオスから産出しているイグアノドン類(鳥脚類)、プシッタコサウルス類(角竜類)、ワニ、カメ、硬鱗魚類の標本を展示します。
白亜紀の地層からは、多くの恐竜の卵殻化石が発見されています。白亜紀後期には特に中国南部で多様な恐竜卵化石が見つかります。その例として、江西省赣州産の卵化石2種類を展示します。またこれと関連して、浙江省での共同発掘成果として浙江省缙雲県産の卵化石も展示します。
中国浙江省では、進化的なヨロイ竜であるアンキロサウルス類が現れましたが、尾に棍棒のようなコブを持たないノドサウルス類も同時期に生息していたことがわかっています。このような地域は他ではアメリカ〜カナダにしか見られません。
北米大陸ではノドサウルス類が白亜紀後期に繁栄しましたが、アジア大陸ではアンキロサウルス類の方が繁栄をしました。アンキロサウルス類の多くは中国北部とモンゴルから産出しますが、浙江省で発見されたアンキロサウルス類はその分布が中国南部までおよんでいたことを示すものといえます。なお、このアンキロサウルス類化石発見は当館と浙江自然博物館との共同発掘の成果です。
展示標本の解説や発掘の状況等の映像を随時放映します。