■共同恐竜発掘調査レポート第2号

作業員の様子

早いもので発掘調査も半ばを迎えようとしています。"冬"とはいえ、連日30度を超える暑さと強い日差しの下での作業のために皆真っ黒に日焼けしています。

この発掘現場では、昨年と同様に地層を観察して骨を発見する「前線」と、前線から運ばれてきた岩石を細かく割って化石を探す「ハンマー」、そして、見つかった化石を仕分けして記録する「レジスター」とに分かれて作業を行っています。こういった作業には、恐竜博物館と現地博物館スタッフ以外に、たくさんのタイ人作業員が参加しています。作業員は化石を触ったり、ましてや石を割って化石を探したりしたことなどない人ばかり。はじめのうちは、どういうものが化石なのか、どうやって石を割るのかなどを伝えながらのため、思うように作業がはかどりませんでしたが、今ではたくさんの岩塊があっという間に小割りされ、たくさんの化石が見つけられるようになりました。暑い中での作業は慣れた者にも大変なのですが、タイの方たちのまじめな仕事ぶりにはいつも感心させられています。

地層を観察

この発掘調査の一番の目的はもちろん恐竜化石を発見することですが、恐竜が生きていた頃の様子や時代などについても調べるため、ほかの化石の調査や地層の詳しい観察も行っています。化石を含むこの地層は、川で運ばれてきた小石などがたまったもので、恐竜以外にも、淡水生のサメの歯、魚のウロコ、ワニ、カメ、変わったものではフンの化石と思われるものなども見つかっています。さらに少し下の地層からは、川などにすんでいた貝の化石も見つかりました。私自身は植物の化石が専門なので、この地層からなんとか植物の化石を見つけて、恐竜の食べ物について明らかにしたい、と考えているのですが、今のところなかなか良い化石が見つかっていません。これは、地層がたまった頃の気候などが影響している可能性もありますし、植物の化石が別の場所でたまったためかもしれません。今年度の調査では、貝化石を含む泥岩なども採集して、花粉のようにより小さな植物の化石も探そうと調査を行っています。

さて、恐竜の食べ物は調査結果をお待ちいただくとして、発掘期間中の食べ物を少しだけ紹介しましょう。昼食はタイの博物館スタッフがお弁当を買ってきてくれます。もちろんタイ料理。麺や焼きめしなどシンプルですがとてもおいしく、毎日この時間を楽しみにしているのは私だけではないと思います。私たちが発掘していることを聞きつけて、バイクでデザートを売りにくるおじさんもいます。さあ、今日もおいしい昼食を楽しみに、いえいえ、良い化石を求めて、がんばって発掘してきます!

ある日の昼食
デザート売りのおじさん

(矢部 淳)