■ダイノサウ・タイ(タイの恐竜)

イサノサウルス

「タイで恐竜?!」ピンとこない方も多いと思います。アジアではモンゴルや中国などが恐竜産地として有名です。しかし、ここタイ王国も実は有力な恐竜産地で、三畳紀後期から白亜紀前期の恐竜化石が発見されているのです。三畳紀後期のナンフォン層から発見された最古の竜脚類のひとつである「イサノサウルス」、産出状態が現場保存されている白亜紀前期サオクア層の竜脚類『プゥイアンゴサウルス』、肉食恐竜ではティラノサウルス類の『シャモティラヌス』やスピノサウルスのなかま『シャモサウルス』など、多くの恐竜が発見されています。

プシッタコサウルス
シャモサウルス
シャモティラヌス
プゥイアンゴサウルス

今回調査を行っている、白亜紀前期のコク・クルアト層からも同じような恐竜化石が発見されていますが、断片的なものが多く、正式に名前のついている恐竜は角竜類のプシッタコサウルスだけです。昨年の発掘調査では、タイではまだ見つかっていない獣脚類の頭骨の一部やイグアノドン類の下顎などの発見がありました。これらの発見はこの地層から知られている恐竜の姿を明らかにするだけでなく、アジア地域での恐竜の広がりを知る上で重要な手がかりを与えてくれます。

白亜紀前期のコク・クルアト層から発見された恐竜化石

現在のところ、状態の良い骨化石が出始めています。今後も、固い岩を割って最初に出てくる言葉が「マイ・ミー・アライ(何にも無い)」でなく、「クラ・ドゥック・ヤイ(大きな骨)」で「スアイニー(きれい)」であることを期待して、発掘作業を続けていきたいと思っています。ケガの無いように。


※タイ語の発音は現地の人から教えてもらったものを自己流でメモしたもので、間違っている場合があります。ご容赦ください。
(柴田正輝)