こんにちは。千秋です。
先週までの暑さはどこへやら。9月に入った途端気温が下がり、朝夕は肌寒ささえ感じる今日この頃です。現場にも少しずつ秋の気配が漂っています。
そんな中、今年の発掘作業も今日で終わり。明日の最終日の撤収作業を残すのみとなりました。いやあ、今年もたいしたトラブルもなく、無事に発掘を終えることが出来て本当に良かったですね。調査員たち、学生さんたち、大変だったと思いますが、お疲れ様でした。
今日の前線はのんびりムード。重機も動いてなければ、ハンマーの音も聞こえません。確かに、今日にまでバタバタ動き回るほど切羽詰まった状況ではなくて、余裕を持っているというのは、むしろ良いことなのでしょう。前線の道具を片付けたり、ノートに記録を取ったりしています。
しかし昨年からはじまった足跡化石調査ですが、意外に時間がかかってしまいましたね。状態良好かつ面白い足跡が見つかっていて結果オーライだと思われますが、成果としてはホネの方が待たれているのでしょうから、帯に短しタスキに長しです。
さて前回「これがボーンベッドか?」と判定会議をしていた層準ですが、アタリだったようです。その地層面を少し露出させてありました。そうそう。こんな感じの岩ですよね。岩自体は、明るめの灰色で、炭化した木質化石の破片が大量に混ざっていて、一見すると真っ黒です。露出面には残念ながら、めぼしい化石はありませんでしたが、まさに調査員が言う「おいしい岩」です。
ボーンベッドの調査自体は来年へと持ち越しですが、もしかして来年は7月から骨がわんさかと出てくる、なんてことを期待したいですね。
お、オーソコーツァイトですか。今年も出ていますね。骨化石が出そうな層準になるとよく出てくるまん丸の石です。
鉱物の石英から出来ているもので、正珪岩とも呼ばれているようです。こんな石が出来るのは大陸でだけということで、手取層群の土砂の起源は大陸だということを示すものなんだそうです。
今日の1番目、2番目の写真にも写っていますが、岩の中からごろごろと出てくるんですよね。不思議です。
さてハンマー隊のようすです。最終日ですが、そこそこの人数ががんばってますね。上にも書きましたが、発掘作業自体は今日までで、明日は撤収・片付け作業のみとなります。今年は学生さんたちにあまり話を聞くことができませんでしたが、いい標本を見つけられた人もそうでなかった人もいることでしょう。最後、ラストスパートで見つけたいものですね。
今日叩いている岩は、まだボーンベッドのものではないようです。が、木質化石にまじってカメの甲らがよく出ているようで、発見記載リストは今日も伸びていました。
その横では、岩石カッターの粉塵がもうもうと舞い上がっています。前線で化石を発見する時は、化石はたいてい割れた岩の面から顔をのぞかせています。岩をうまく叩いて、化石を含む範囲だけ取り出せれば良いのですが、化石を壊さず必要箇所だけというのは石工職人でも難しい相談でしょう。そこで岩石カッターで岩に切れ目を入れてやれば、最低限の打撃で取り外せるようになります。前線での発掘最盛期にはやれない作業なので、発掘終盤ならではの光景となってます。で、その岩、何の化石がついていたのでしょうね?
さて、今年の調査ではどんな成果が出たのか、いずれ館からの正式な発表があるものと思います。それまでしばしお待ちください。来年度はいよいよボーンベッド!来年のレポートはにぎやかしくお伝えできますように。今年度の発掘調査レポート、更新はここまでとさせていただきます。ではでは。