こんにちは。千秋です。
夏の盛りを過ぎたのか、発掘現場ではたくさんの赤トンボが舞っています。とは言え日中の日差しは文字通り肌に痛いです。
今日は割と曇りがちの天気で風もそこそこあり、体の方も慣れてきたのか、気候的にも発掘日和の日でした。
さて、前線の様子です。先週除去していたグズグズの土砂とおぼしき岩ですが、今はもうキレイになくなっています。今は重機で大割りをした岩石の表面を丹念に観察しているところです。毎年の光景ですが、割ったばかり、しかも濡れている岩の表面と化石は判別が難しいんですよね。
今日は化石の出はなかなか厳しいらしく、登録簿への記載もあまり進んでいないとのことでした。
では今日は発掘隊員たちの一日をご紹介します。発掘隊員たちは全国の大学から募集してきてもらっている大学生達。地学系の学生さんです。発掘に来た初日にはまず、この北谷の発掘現場の歴史や地層の様子、発掘の手順などの説明を受けます。それが済めばハンマー隊の一員として、岩の小割り作業を行います。
今日は前線から新しい岩が届いていたのですが、表面に泥が付いていて見にくいので、高圧洗浄機で泥を洗い流すところからはじまりました。いくら前線で化石がないかどうか確認しているとはいえ、見落としがあるやも知れません。岩の小割り前にはしっかり表面を観察してからです。
運良く化石が発見できたら、登録作業です。登録簿に発見順の番号、種類、状態などを記載します。化石がもろい場合には、表面に保護剤を塗って、綿と一緒にガムテープで梱包。ガムテープにも発見番号を記載して、館へ持って帰るための箱に入れます。日の終わりにこの箱がいっぱいになっていると、今日も頑張ってくれたなとしみじみします。
お昼になったら発掘現場事務所でお弁当です。本当はそれぞれ違う地方から来ている学生同士、情報交換がてらわいわいとテーブルを囲みたいところですが、コロナ禍の中、黙食でいただきます。
お昼の休憩がすめば、再び発掘現場へ。夕方の撤収まで頑張ります。撤収は現場の化石箱をトラックに積んで、道具類は現場事務所へ持ち帰り、現場のテントをたたむ作業です。それが済めば宿舎へ。明日への英気を養います。
英気を養うといえば、時折見つかる素晴らしい化石を見せてもらうのも十分効果があります。発見されたばかりの生々しい化石たちは、標本ケースに陳列されたもの以上にドキドキするものです。例え自分が発見した化石じゃなくても…。
最初の化石はスピノサウルス類の歯の化石。上下に延びる線が美しいです。これは昨日見つかったものだそうです。2番目の化石は今日見つかったもの。骨のはしっこが見えていて、取り出した岩にはまだ続きがあるそうです。博物館に持ち帰ってのクリーニング作業が楽しみですね。
こちらは岩の表面に残された植物化石。見れば見るほど不思議な形ですね。この化石を登録に回してくれた発掘隊員、グッジョブです。さて植物化石の専門家の見解やいかに(球果だそうです)。
といったところで今回のレポートはここまでとさせていただきます。ではでは。