■タイ国恐竜発掘調査レポート 第2号

地層表面の洗浄

表土の除去作業がほぼ終了しました。しかし、恐竜化石を含んだ地層の表面に多少表土が残り、化石の観察ができません。そこで、自動車の洗浄に使う高圧洗浄機を調達し、ほぼ一日かかって地層表面の洗浄を行いました(写真1)。その結果、地層表面のあちらこちらで大小の骨化石が見えてきました。数人で手分けして丁寧に地層の表面の観察を行い、露出した化石の確認を行います。確認された化石には、マーカーで印をつけ、標本番号をつけてゆきます。また、その位置を測量して記録に残します(写真2)。

位置測量と記録(クリックで拡大)
化石を壊さないように採集(クリックで拡大)

一部の化石は、壊れやすいため地層から採集してしまうことにしました。化石周辺の岩石をタガネとハンマーを使って彫り込んでいき、化石を壊さないように採集します(写真3)。また、試験的に一部のブロックを大きく外し、大きなハンマーで割って化石の有無を確認しました。タイ人作業員は、大変上手に大きな岩を小さくしていきます(写真4)。半日かけて大きな岩は見事に小さくなり、多数の骨化石が発見されました(写真5)。

四肢のものと思われる恐竜化石(クリックで拡大)
四肢のものと思われる恐竜化石(クリックで拡大)

表面に現れた化石の中には保存の悪いものもあります。このような化石は、樹脂を使って固くして採集したいのですが、日本から送っている発掘資材が到着しません。日本の運送会社に電話何度も問い合わせているのですが、タイの税関の許可がでないなどの理由で今日も到着しません。一時間でも早く資材が到着することを願っています。

(東 洋一)