■クラ・ドゥゥク(Kra Dook;骨)!

前線

「クラ・ドゥゥク(Kra Dook;骨)!」──これが発掘現場で一番大切なタイ語のひとつですが、現場では地元の作業員とのコミュニケーションの助けとなっています。私は現場でどのように作業を進めていくのか、化石がどこにあるのかということを、こちらの博物館のスタッフとともに協議しながら行っています。特に、英語の通じない地元の作業員の人とは、「クラ・ドゥゥク」という言葉が欠かせません。また、面白いことに、タイ語では恐竜のことを「ダイノサウ」といい、ほとんどそのまま英語のDinosaurからきているようです。「クラ・ドゥゥク・ダイノサウ(恐竜の骨)」を見つけること、これが今回の発掘の大きな目的です。

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作業はなかなか思うようには進みません。発掘現場の岩石の性質を良く知らないといけませんし、また作業の進め方などはタイのスタッフと話し合いながら行わなければなりません。特にこちらのスタッフや作業員のほとんどは恐竜化石の発掘作業を初めて経験する人ばかりです。まず英語でスタッフに話し、そしてタイ語で作業員の方々に伝えてもらわなければなりません。思うようにいかないことも多々あります。しかし「恐竜化石を見つける」という目的は同じ。毎回壁にぶち当たりながら、岩石にぶち当たっています。

化石の発掘もいよいよ本格化してきました。現場は大きく2つのグループに分けました。表面に露出している化石を取り出し、岩石を大きく割りながら化石を探すグループ(前線:Frontier line)と、岩石を小さく割りながら化石を探すグループ(Hammers)。どちらのグループでも重要な化石が出てくる可能性があり、気を抜くことはできません。

ハンマー隊(クリックで拡大)
昼食(クリックで拡大)

タイでも冬なのですが、我々にとっては夏。昼間の日差しはキツく、日焼けにより真っ黒になってしまい、現地人と間違われるくらいです。こらからまだ数週間残っています。タイと共同で行う初めての調査。今後の発見にご期待ください。

そろそろ寝る時間になったと、ヤモリが鳴いています。明日はどんなことが起こるか、どんな大発見があるか楽しみです。体力を回復させねば‥‥。

(柴田 正輝)