■タイの発掘現場視察を終えて

発掘現場視察の様子

福井県立恐竜博物館長がタイの地を訪問したのは、日タイ共同調査視察の意味もありますが、今年7月に来県し福井県教育長を表敬訪問していただいたナコーン・ラチャシーマ・ラジャブハット大学付属東北研究センター・珪化木鉱物資源博物館館長プラトゥエング・ジンサタクル博士にご挨拶する意味もありました。

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ナコーン・ラチャシーマ・ラジャブハット大学付属東北研究センター・珪化木鉱物資源博物館は、珪化木化石の展示研究を目的として産地のそばに建設されましたが、恐竜や新生代のゾウの化石が発見されたことで建物や展示を拡張して来年度オープンの予定であるそうです。建設途中の展示施設ですが、CGなど映像を駆使したものが多く、子供たちが楽しめるものが多くありました。館では共同研究事業への協力を再確認するとともに、今後の資料借用など事業への協力要請を行いました。

恐竜化石発掘現場は、博物館から車で15分くらいのトウモロコシ畑の中にあり、畑の一部分が禿げたように露頭が見えています。この茶褐色の礫岩層の中に化石が含まれているのですが、かなり粘りがあるため現地の削岩機では歯が立ちません。そこでダイナマイトで大まかに割り、後は手割りで化石を取り出していました。

岩は茶褐色ですが、恐竜化石は灰色で、区別がつきやすいです。植物の化石はほとんどなく、恐竜や亀などの脊椎動物の化石ばかりなのだそうです。現場では研究員らの他に、現地で人を雇って発掘を行っているのですが、彼らの真面目な働きぶりには感心するものがあります。割りにくい石に日がなハンマーを降り続け、終業時刻を過ぎても合図があるまでは止めようとしません。礼儀正しさ丁寧さもさることながら、この姿勢に心を打たれました。

(小島 啓市)