■タイ国恐竜発掘調査レポート 第3号

発掘現場のテント

久しぶりのレポートを送ります。

発掘現場のテントに日本とタイの国旗も設置され、調査も本格的に進んでいます(写真1)。発掘現場の地層は、大小の『島』のように並んでいます。これは、おそらく大きな河の浸食作用によって形成されたものと思われます(写真2)。

発掘現場の地層(クリックで拡大)

地層を作る岩石は、小さな礫が沢山混じる砂岩からできており、とても固く石を割るのには大変な困難さがあります。しかし、タイ人作業員の職人的技によってみるみる小さく砕かれています。小さく割られた石の表面には沢山の化石が露出しています。地層の表面や岩石中の化石を取り出す際に、日本製の岩石カッターが使われています。


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発見された化石には、発見地点や番号などが記録され新聞紙などで梱包されていきます(ビデオ3)。発見される化石が多すぎて記録や梱包が追いつかないこともしばしばです。

時折、比較的大きな化石や形の分かるものが発見されると、タイ人作業員から歓声が上がることがあります。日本での発掘調査の時にも同じような光景を見ることがあります。11月11日に、大変大きな肉食恐竜の歯が発見されました。このような時には、ひと際歓声も大きくなってしまいます。発見された肉食恐竜の歯は、残念ながら二つに割れてしまいましたが、クリーニング作業によってほぼ完全に復元できるものと思われます(写真4)。左下はこれまでにこの付近で発見された肉食恐竜の歯です。このような化石が見つかると、現場の雰囲気が一変し作業員の声も大きくなり冗談もでてきます。タイ語で『ありがとうございます』は『コップン・カップ』というのですが、語感の似た『コッペン・クダプ』という感謝の言葉(ジョーク)が日本人調査員によって作られました。これは、運悪く化石が小さく砕かれてしまった時に『骨片・砕く』という言葉に引っ掛けられているのです。(写真5:恐竜の四肢の骨と思われる化石

発見された肉食恐竜の歯(クリックで拡大)
恐竜の四肢の骨と思われる化石(クリックで拡大)


(東 洋一)