発掘調査レポート2016スタートです!

8月16日の発掘現場全景
8月16日の発掘現場全景

こんにちは。千秋です。

8月1日から始まった今年度2016年の発掘調査ですが、はや16日となってしまいました。レポートが滞り、お待ちのみなさまには申し訳ありません。

さて本日ようやく発掘現場に行くことができました。発掘最前線の隊員たちや、ハンマー隊の隊員たち、重機のオペレーターさんたち、今年も作業に励んでおられました。ではさっそく、詳しく紹介していきましょう。

最前線の地層面のようす
最前線の地層面のようす

今年の発掘調査ですが、昨年までの地層からさらに下に掘りこんだ層準の調査です。昨年までは足跡化石の発見があって、調査のスピードが正直、上がらなかったわけですが、今年はガンガンいきたいところです。…と2週間も現場を見ないうちにかなり掘りこまれているようです。昨年末のレポートでボーンベッドか?といっていたこの層準ですが、実はさらに下の層準とのことで、いわば未知の領域です。ただし、化石産出の様子は第一次にとても似通っているように感じました。

恐竜のものであろう骨化石の断面
恐竜のものであろう骨化石の断面
大きな岩石を割った面を調べる
大きな岩石を割った面を調べる

骨化石の断面に保護剤を塗布
骨化石の断面に保護剤を塗布

前線には大きく取り出した岩がいくつも置いてあって、それぞれの表面には白いマーカーで化石発見の部位が示されていました。大割りしてその割り面に骨化石を発見、それ含めて岩を分割しようと割るとまた化石が顔をのぞかせる、と今年はこんな感じで大物の化石が多産しているようです。

そのひとつ、まず断面に見える大きな骨化石!指との対比からすると直径4cm以上はありそうです。奥にもずっと続いていそうで、さらなる新種の恐竜か?と想像が先走りしそうなくらいしっかりした骨化石です。前線ではちょうど重機で岩を大割りしたところで、その断面にも新たに骨化石が見つかったとのこと。すごい発見ラッシュですね!今年の調査報告が早くも楽しみになってきました。

ハンマー隊のようす
ハンマー隊のようす

さてハンマー隊のようすです。前線で大割りして確認し終わった岩をさらに小さく割りつつ化石を探していく作業をしてもらっています。今年は第四次の4年目ということで顔なじみの隊員が増えてきました。炎天下、黙々とハンマーを振るう姿には毎年のことながら頭が下がります。熱中症には気をつけてください。

ではハンマー隊の化石を見ていきましょう。私が現場に着いたところハンマー隊員たちが集まっていて、見せてもらったのがカメの甲らです。カメの甲らは十数個ほどのパーツから構成されていますが、そのパーツのひとつがまるまる発見されたんですね。私自身もこれまでは壊れた化石しか見てこなかっただけにすごくビックリしました。しかも、周りの石が取れていてクリーニングをしなくていい!かつ化石のつなぎ合わせをしなくてもいい!というダブルで素晴らしい標本です。その他にもハンマー隊の標本箱には多くの化石が入っていました。こんな感じでいい標本が見つけられれば、やる気も俄然わいてくるというものですね!

大きなカメの甲らの化石
大きなカメの甲らの化石
ハンマー隊で発見された化石たち
ハンマー隊で発見された化石たち

硬鱗魚のウロコ化石
硬鱗魚のウロコ化石
見事な貝化石も見つかっています
見事な貝化石も見つかっています

発掘体験で見つかった獣脚類の歯
発掘体験で見つかった獣脚類の歯

ところで野外恐竜博物館の発掘体験場でも発掘現場の石を使った発掘体験をしていただいていますが、今日はなんと獣脚類の歯が発見されたそうです。8月に入ってから研究に使える化石の発見が増えてきていましたが、これは格段に良いですね。歯のギザギザもしっかり確認できます。先端が欠けてしまっているのが惜しいですが、大きさからフクイラプトルのものという可能性がありますね。こちらもクリーニングと研究の結果が楽しみです。

今回のレポートはここまでとさせていただきます。ではでは。

(千秋利弘)

© 2016 Fukui Prefectural Dinosaur Museum.
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