恐竜・古生物 Q&A

ブロントサウルスが、現在アパトサウルスと呼ばれているのはどうして?

恐竜を含めた動物の名前は、「国際動物命名規約 こくさいどうぶつめいめいきやく 」というルールに従ってつけられます。この中では、名前をつける時に起こりうる様々な場合に備えて、どのように対処すればよいかを細かく決めており、一冊の本になっています。

では、どこかで新たに恐竜の化石が見つかったとして、すでに名前がついている恐竜のものだと気付かずに、違う名前をつけてしまった場合は、どうなるでしょうか?「規約」では、そのような場合の解決のために、「シノニム(同物異名 どうぶついめい )」という項を設けています。「シノニム」とは、同じ種類の動物につけられた異なる名前のことです。「規約」では、同じ動物に2つ以上の異なる名前がつけられたことがあとでわかった場合、先につけられた名前を使いましょう、というルールになっています。長年、「ブロントサウルス」として親しまれてきた恐竜が「アパトサウルス」と呼ばれるようになったのは、このシノニムが原因なのです。

1877年、アメリカでオスニエル・チャールズ・マーシュが、アパトサウルス・アジャックスという種を提案しました。その2年後の1879年には、やはりマーシュがブロントサウルスという名前(属名)を設けました。しかし、1903年になって、それらが同じ動物だということがわかりました。名前のつけられた順番はアパトサウルスの方が先なので、学問の世界ではブロントサウルスの名前は使われなくなりました。しかし、ブロントサウルスという名前が無効であることは一般には伝わらず、いろいろな本や映画などにブロントサウルスの名前が登場することで、逆にその名前が世間に広まってしまったのです。最近になってようやくこのことが広く知られるようになり、「ブロントサウルス」が「アパトサウルス」に直されるようになりました。ちなみに、「ブロント」は「雷」を意味することから、一時期、竜脚類 りゅうきゃくるい は“カミナリ竜”と呼ばれていました。

ただし、2015年の再研究では、元々ブロントサウルスと命名された化石には、アパトサウルスとは異なる特徴があるという結果が示され、やはりブロントサウルスは独立した属なのではないかという意見も出ています。

アパトサウルスの頭骨

アパトサウルスの頭骨

(2020/12/22更新)

福井県立恐竜博物館
所在地:
〒911-8601 
福井県勝山市村岡町寺尾51-11
かつやま恐竜の森内
TEL:0779-88-0001(代表)
TEL:0779-88-0892(団体受付)

©2000 - Fukui Prefectural Dinosaur Museum.