2010年度海外恐竜化石発掘調査(中国浙江省・河南省)結果報告
2010年9月から10月にかけて、中国において恐竜化石発掘調査を行いましたので、その結果について報告いたします。
※なお、この結果報告をまとめたポスターを、12月末まで館内に掲示いたします。
浙江省東陽市での調査について
2009年、東陽市馬宅(マチャイ)鎮楊岩(ヤンヤン)村で地元の人により恐竜化石が発見されたという報告を受け、中国浙江自然博物館と福井県立恐竜博物館との共同発掘調査を行うこととなった。また同じ東陽市から恐竜の足跡化石の産出も確認されたことから、あわせて共同発掘調査を行った。恐竜博物館と中国浙江自然博物館が中心となり、東陽市博物館および中国地質科学院と共同で調査を行った。
浙江省には白亜紀の地層が広く分布しており、卵化石が多く発見されることでよく知られている。東陽市も従来は卵化石の産出地として知られていたが、2008年に竜脚類(大型植物食恐竜)が発見され、翌年に新属新種のドンヤンゴサウルス・シネンシスと学名が付けられ、恐竜化石の産地として知られるようになった。今回の調査では、保存のよいヨロイ竜類の頭骨や皮骨(装甲板)などが発見され、新しい恐竜の可能性が大いにある。また、足跡化石産地では、連続歩行や非常に保存状態の良い足跡を多量に発見することができた。
- 調査期間
- 2010年9月23日㈬~10月15日㈮
- 発掘標本
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- 恐竜化石
- アンキロサウルス類(ヨロイ竜類)の頭骨、皮骨、肋骨など。
- 足跡化石
- 獣脚類、鳥類、翼竜類など
河南省汝陽県での調査について
概要
調査は、恐竜博物館と中国浙江自然博物館が中心となり、河南省地質博物館および中国地質科学院と共同で調査を行った。
河南省は古くから恐竜の卵化石の産地として有名であったが、近年数多くの恐竜骨格化石が発見され、注目を集めている。今回の調査では、地元の農民から骨の発見が報告された2か所(劉店〈リウディアン〉郷土橋〈ツチァオ〉〈第1サイト〉および劉店郷劉富溝〈リウフゴウ〉〈第2サイト〉)での発掘調査を行った。第1サイトでは試掘を行った結果、恐竜と思われる骨化石が産出した。化石は、河南省地質博物館へ持ち帰った。第2サイトでは、約2.5mx1mの発掘を行い、骨化石は比較的保存がよくないものの、恐らく脊椎骨や四肢骨と思われる化石が産出した。またその周辺で、保存のよい貝化石が数多く産出し、あわせて採集を行った。
- 調査期間
- 2010年10月18日㈪~10月25日㈪
- 発掘標本
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- 恐竜化石
- ヨロイ竜類?