2010年度 第3次恐竜化石調査産出化石報告

2011年4月22日

2010年夏に実施した第三次恐竜化石発掘調査において発見された化石について、クリーニング作業により明らかになった内容を報告いたします。

~新しいイグアノドン類の下あご化石の発見について~

2010年度 第3次恐竜化石調査成果の概要

2010年度第三次恐竜化石発掘調査では、新たな足跡化石や脊椎動物化石を中心に約1,600点の化石を採集した。現在、それらの化石はクリーニング作業中で詳細について調査中である。

今回は、クリーニング作業の進行により、同一個体と思われるイグアノドン類の左右の下あごの化石を発見したことを報告する。日本で発見され現在名前がついているイグアノドン類はフクイサウルスだけである。今回発見された下あごの化石は、2003年に報告されたフクイサウルスが発見された場所と同じ発掘現場であるが、その特徴の違いからフクイサウルスとは別の新しいイグアノドン類の可能性がある。

さらに、左右の下あごが重なるように発見されており、大きさも一致することから、同一個体の標本であることは間違いないといえる。同一現場で2つの異なるイグアノドン類が確認されたのは、日本では初めてである。また、約1億2000万年前の福井に多種多様な恐竜がいたことが改めて示されたと言える。

調査期間
2010年7月19日から8月31日まで(44日間)
調査地
勝山市北谷町杉山 恐竜化石発掘現場
地層
手取層群北谷層(白亜紀前期、約1億2000万年前)
調査面積
約500㎡(恐竜化石層 200㎡、足跡化石層 300㎡)
参加人数
延べ 約600名
(福井県立恐竜博物館職員、県内外恐竜化石研究者、地質・古生物学系大学生・大学院生)
化石点数
約1,600点

イグアノドン類の下あご(歯骨)化石

イグアノドン類の下あご(歯骨)化石は、第3次恐竜化石調査期間中の2010年8月28日㈯に、従来から恐竜の骨化石が産出することで知られていた「骨化石層I」と呼んでいる地層から発見された。

発掘現場の最前線でまず右側の下あごが確認され、その後、その直下に左側があることが分かった。2003年に報告されたフクイサウルスも左右の下あごが発見されているが、形状が全く異なっており、別種類の可能性が非常に高い。

大きさ (長さ×幅×高さcm)

①右
26×4.7×12
②左
26×3.7×12

意義

同一地域から2つの近縁な種類が確認されたのは、我が国初めてであり、次の2点で重要といえる。

  1. 同一個体の両側の下あごの骨が重なり合って発見されたこと
  2. 保存状態が良好であること
    発見された下あごは、イグアノドン類の特徴を示す歯が多数生きていた当時の場所に残されており、その種類と歯の構造を知る上で重要な手がかりを与えてくれる。

以上のようなことから、勝山市の発掘現場は、恐竜化石の量だけでなく、その質も非常に高いことが示され、今後引き続き新しい種類の恐竜が発見される可能性が大いにあることが証明された。

また、学術的には、白亜紀前期はアジア地域にイグアノドン類が拡散・多様化していった時期で、近年中国やタイからも続々と発見されている。今回の発見は、当時のアジア大陸の東縁にも多様な恐竜相があったことを裏付ける重要な証拠となる。さらに、2008年に発見された小型のイグアノドン類の下あごとその形状が類似しており、同種類の子どもと大人がいた可能性が示された。

①イグアノドン類下顎骨(右)
①イグアノドン類下顎骨(右)
②イグアノドン類下顎骨(左)
②イグアノドン類下顎骨(左)

イグアノドン類のその他の部位

同じ地層からは、イグアノドン類のものと思われる他の部位(大腿骨や腰の骨など)も多数発見された。特に坐骨はほぼ完全な状態で発見され、また、胴椎には周囲に腱(生きていた当時、背中側を補強していた組織)が残されている。これらは、本発掘現場から初めて発見された。その種類については、フクイサウルスか、あるいは前述のイグアノドン類かについては、今後検討が必要である。

部位と大きさ (長さ×幅×高さcm)

坐骨
③(右)45.3×3.6×11.5
④(左)25.6×3.6×14.2
胴椎
⑤7.9×10.4×9.6
⑥9.3×5×20.1
仙椎
⑥6.6×15.4×10.5
⑦21.8×14.4×7.4
尾椎
⑧6.9×5.1×18.6

意義

フクイサウルスと思われるイグアノドン類の骨化石は、第1次および2次調査の時にも発見されている。しかし、今回報告している部位の中で、坐骨は、初めての報告となるだけでなく、左右が発見されておりサイズもほぼ調和的であり一個体に由来する可能性がある。また、腱は、単独で発見されることが多く、今回のように胴椎の周囲で産することは非常に珍しい。

このように、新しい部位や状態の骨化石の発見により、福井県のイグアノドン類の姿がわかるようになってきたと言える。

※ 今回のイグアノドン類の骨化石は、4月23日㈯から5月10日㈫までの間、恐竜博物館1階「福井の恐竜」コーナーで展示(予定)します。
イグアノドン類のその他の部位③~⑤
イグアノドン類のその他の部位③~⑤
イグアノドン類のその他の部位⑥~⑧
イグアノドン類のその他の部位⑥~⑧
イグアノドン類の骨格での発見部位
イグアノドン類の骨格での発見部位

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