福井県から新たに発見された恐竜および哺乳類の化石について

2013年6月24日

福井県立恐竜博物館は、勝山市北谷の手取層群北谷層(約1億2000万年前)から新たに発見された脊椎動物化石を報告いたします。新たな化石の発表は下記の3件であり、今月末に開催される日本古生物学会(於:熊本大学)においても口頭発表されます(発表日:2013年6月29日㈯ 同日に他2件の関連発表もあり 下記参照)。これらの化石は主に第三次恐竜化石発掘調査時に収集されたもので、2013年度の福井県立恐竜博物館の特別展にて展示公開されます。

オルニトミモサウルス類の化石について

概要
オルニトミモサウルス類の3点の末節骨(指先の骨)に関する発表。群馬県、熊本県に次ぐ発見。

発見された化石は2008年8月に採集された2点の末節骨(画像1:長さ35.2mm×幅6.2mm、画像2:46.3mm×8.7mm)と、1998年(第二次発掘調査時)に採集された1点の末節骨(35.9mm×6.2mm)である。細長く、扁平な末節骨は、オルニトミモサウルス類としての特徴を示す。オルニトミモサウルス類の化石は、国内においては数少なく、群馬県神流町の白亜紀前期の地層から背骨の一部、熊本県御船町の白亜紀後期の地層からは背骨と末節骨が報告されているのみである。福井県の標本は白亜紀前期の日本にオルニトミモサウルス類が広く存在していたことを示す重要な追加資料である。

発表に関する参考:オルニトミモサウルス類は「ダチョウ型恐竜」とも呼ばれる、後ろ足の長い恐竜。世界最古のオルニトミモサウルス類はスペインから発見されているが、白亜紀以降、化石は中国やモンゴルから数多く発見されている。

画像1:オルニトミモサウルス類の末節骨
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画像2:オルニトミモサウルス類の末節骨
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画像3:オルニトミモサウルス類の末節骨
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哺乳類の化石について

概要
新たな2種の哺乳類化石に関する発表。ともに国内の既知の中生代哺乳類(恐竜時代の哺乳類)とは異なる種。

勝山市北谷の発掘現場より産出した2点の哺乳類化石のうち、1点は多丘歯類の下顎第四小臼歯の歯冠部(2008年8月採集 画像4 長さ約4.8mm×高さ約3.2mm×厚さ約1.4mm)である。もう1点は不完全な臼歯を伴う左下顎骨の後方部(1992年採集 画像5 長さ約11.7mm×高さ約5.7mm×厚さ約2.7mm)であり、最近の研究により哺乳類の化石と判明したが、その分類の帰属は不明。多丘歯類の化石は、石川県白山市白峰に次ぐ発見となり、白山市の種とは異なる。下顎骨の化石は多丘歯類のものではなく、歯や下顎の特徴から、国内における既知の中生代哺乳類と異なる。福井県の化石はそれが新種のものか否かの判断に追加資料が必要であるが、白亜紀前期の日本の哺乳動物相の多様性を示す重要な資料となる。

発表に関する参考:日本の中生代哺乳類化石は、これまで熊本県御船町(1種)、石川県白山市(4種)、福井県勝山市(1種)、兵庫県篠山市(1種)の4か所7種が知られている。これらは歯や、歯が植立した顎といった化石から知られるが、歯の特徴は種類の識別に役立つ。恐竜時代の哺乳類は、数種の例外的なものを除けば、現在のネズミのような小さな姿のものばかりである。多丘歯類は小型の絶滅草食哺乳類(一部は雑食)であり、上下の顎に長い切歯を持つなど、現在のネズミ類に似る。石川県白山市白峰の桑島層からは、2種のエオバータル科の多丘歯類(ハクサノバータル・マツオイ、テドリバータル・ライニ)と2種の真三錐歯類(ハクサノドン・アルカエウスと属種未定種)が報告され、これらは日本最古の哺乳類化石である。福井県勝山市北谷からは、スパラコテリウム科の相称歯類、シンメトロレステス・パルヴスが2004年に論文で報告された。真三錐歯類と相称歯類は共に食虫性の絶滅哺乳類である。

画像4:多丘歯類の下顎第四小臼歯
画像4:多丘歯類の下顎第四小臼歯
画像5:帰属不明の左下顎骨後方部
画像5:帰属不明の左下顎骨後方部

新たなイグアノドン類の幼体化石について

概要
同一個体のものと考えられるイグアノドン類の幼体化石5点に関する発表。

2008年に同一個体のものと考えられるイグアノドン類の化石5点(上顎骨、軸椎、仙椎、恥骨、大腿骨)を採集した。既知のイグアノドン類のフクイサウルスとの関係は現在研究中であるが、大腿骨の断面観察(組織学的研究)による年齢推定の結果、3歳以上の幼体であることが判明した。日本の恐竜の骨化石に関する組織学研究の例は無く、当県のように豊富な化石産出が必然とされる。今後、イグアノドン類以外の恐竜(例えばフクイラプトル)についても同様な研究を推し進め、福井で発見されている恐竜の成長段階について明らかにすることができる。

発表に関する参考:発見した化石の部位と大きさ(長さ×高さ×幅mm)は以下のとおり。

上顎骨(画像6):
歯が植立する上顎の骨。化石は左上顎骨で、歯の一部は生きていた時の位置(歯槽)で保存されている(169×48.5×29.6mm)。
軸椎(画像7):
前から2番目の頸椎。化石では神経弓が保存され、椎体(関節する場所)は欠落している(63.4×39.5×40.5mm)。
仙椎(画像8):
腰の背骨。化石では椎体のみが保存されている(48.9×45.8×54.7mm)。
恥骨(画像9):
腰の骨の一部。化石では大腿骨との関節部である寛骨臼を形成する部分が保存されている(154×75.2×35.2mm)。
大腿骨(画像10):
太ももの骨。化石では遠位部(膝下の骨と関節する部分)が保存されている(117×101×96.9mm)。
画像6:イグアノドン類の上顎骨
画像6:上顎骨
画像7:イグアノドン類の軸椎
画像7:軸椎

画像8:イグアノドン類の仙椎
画像8:仙椎
画像9:イグアノドン類の恥骨
画像9:恥骨

画像10:イグアノドン類の大腿骨
画像10:大腿骨

化石の展示公開

2013年度特別展「発掘!発見!1億年の時を越えて~福井県恐竜化石発掘25年記念~」

期間
2013年7月12日㈮~10月14日㈪
場所
福井県立恐竜博物館特別展示室(3F)

発表学会の開催日時

名称
日本古生物学会2013年年会
開催期間
2013年6月28日㈮~30日㈰
発表場所
熊本大学理学部

詳細は日本古生物学会ホームページ(http://www.palaeo-soc-japan.jp/Japanese/)参照

発表タイトル・発表者(以下全て2013年6月29日(土)発表)

  • 手取層群北谷層から発見されたオルニトミモサウルス類について
    発表者
    東 洋一・柴田正輝・久保 泰・関谷 透
  • 福井県勝山市下部白亜系北谷層(手取層群)産の2種の哺乳類化石
    発表者
    宮田和周・柴田正輝・東 洋一
  • 福井県の下部白亜系北谷層から発見された新しい幼体のイグアノドン類化石
    発表者
    柴田正輝

他2件の福井県の恐竜化石等に関する発表

  • 福井県勝山市の下部白亜系北谷層から産出した小型獣脚類について
    発表者
    東 洋一・柴田正輝
  • 福井県勝山市の下部白亜系手取層群北谷層の化石カメ類
    発表者
    薗田哲平・東 洋一・平山 廉・安藤寿男

参考)第三次恐竜化石発掘調査について

福井県が2007~2010年(平成19~22年度)にかけて、勝山市北谷で実施した恐竜化石調査。竜脚類としては国内で初めて新種名がついたフクイティタン、国内で最も保存状態の良い恐竜化石であるドロマエオサウルス類の全身骨格などが発見された(これらは全てプレスリリース済み)。4年間の調査で3000点を超える化石を収集し、化石クリーニング作業は現在も継続中。

福井県立恐竜博物館
所在地:
〒911-8601
福井県勝山市村岡町寺尾51-11
かつやま恐竜の森内
TEL:
0779-88-0001(代表)
 
0779-88-0892(団体受付)

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