ティラノサウルスの顎先は高感度の触覚センサーだった可能性を明らかにしました

2021年8月23日

ティラノサウルスの下顎化石をCTスキャンし、血管や神経が通る管(血管神経管)の形態を世界で初めて3Dモデルとして復元し、角竜恐竜トリケラトプス等の恐竜や現生ワニの下顎もCTスキャンして、形態比較を行いました。その結果、ティラノサウルスの顎先は高感度の触覚センサーとして機能していた可能性が明らかになり、論文として発表しました。

論文

タイトル
Complex neurovascular system in the dentary of Tyrannosaurus
[和訳:ティラノサウルスの歯骨に見られる複雑な血管神経系]
著者(連名順)
河部 壮一郎(福井県立大学恐竜学研究所准教授、福井県立恐竜博物館研究員)
服部創紀(福井県立大学恐竜学研究所助教、福井県立恐竜博物館研究員)
掲載雑誌
Historical Biology(ヒストリカル・バイオロジー)
掲載日
2021年8月23日㈪ 電子版で掲載(後日冊子体に掲載)

関連展示

展示会名
恐竜博物館令和3年度特別展「海竜 ~恐竜時代の海の猛者たち~」
展示期間
2021年7月16日㈮~10月31日㈰
場所
恐竜博物館特別展示室

研究背景

ティラノサウルスは後期白亜紀に栄えた最も有名な肉食恐竜の一つです。ティラノサウルスについては、これまでに様々な研究がされてきていましたが、下顎の内部構造を解析されたことはなく、下顎に血管や神経がどのように分布していたのか全くわかっていませんでした。そこで、本研究では福井県立恐竜博物館所蔵のティラノサウルス下顎化石をCTスキャンし、血管や神経が通る管(血管神経管)の形態を世界で初めて3Dモデルとして復元しました。また、比較のために角竜恐竜トリケラトプスや鳥脚類恐竜フクイサウルス、エドモントサウルス、現生ワニの下顎もCTスキャンし、これらとの形態比較を行いました。

図.ティラノサウルス下顎内の血管神経管(オレンジ)

図.ティラノサウルス下顎内の血管神経管(オレンジ)

結果と意義

ティラノサウルスの血管神経管は、今回比較した恐竜の中では最も複雑に枝分かれをしていました。血管神経管が複雑に枝分かれをしているということは、その領域に分布する神経(下顎神経)の密度も高くなると考えられていることから、鋭い触覚センサーとしての役割を担うと考えられます。このことから、ティラノサウルスは恐竜の中でも敏感な下顎をしていたことがわかりました。さらに、今の動物でも極めて鋭い感覚を持つとされるワニや鳥(カモ)のものと比較しても、ティラノサウルスの血管神経管は同程度に複雑であることが判明しました。また、枝分かれの複雑さは顎先ほど高いこともわかりました。つまり、ティラノサウルスの下顎神経は高度に発達しており、特に顎先が鋭いセンサーの役割を担っていた可能性があることが明らかになりました。ティラノサウルスの顎先は、捕食、巣作りや育児、種内コミュニケーションなど、細やかな動きを伴う行動に適応していたのかもしれません。


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