全球凍結における生物の盛衰に関する論文が発表されました

2021年8月23日

このたび、当館研究・展示課の静谷あてな主事が中心となって取り組んできた共同研究の成果として、新原生代クライオジェニアン~エディアカランの全球凍結における生物の盛衰に関する論文が国際誌「Global and Planetary Change」に掲載されました。

発表の概要

地球では少なくとも過去に3度、ほぼ地球全体が凍結する「全球凍結」と呼ばれる氷河期があったことがわかっています。これらの時期に大陸氷河の移動によって形成された地層(氷成層)は、当時の赤道域にまで分布しています。この氷成層は典型的に炭酸塩岩に覆われていますが、これは大気中に蓄積した二酸化炭素による温室効果で全球凍結が終了し、その後、過剰になった二酸化炭素が海で沈殿して形成されたものと考えられています。

本研究では、6億5〜3千万年前(新原生代クライオジェニアン~エディアカラン)の全球凍結―解氷時に形成されたこれら一連の地層の岩石試料を中国南部・揚子プラットフォームの九龍湾セクションより採取し、堆積有機分子※を分析した結果、全球凍結中に光合成をする生物(藻類)が存在した証拠、及び、解氷後に真正細菌が増え、その後、真核生物が栄えた証拠をつかみました。後者は、退氷時の温室効果による異常に高い気温が下がる途中で真正細菌が増え、気温が普通の状態になると真核生物が増えたと解釈できます。

※堆積有機分子…堆積物中に保存された有機分子の総称で、当時の生物によるものや燃焼と熟成などにより非生物介在で生成されるものがあります。前者は安定な形に変化して保存されることが多く、本研究で分析された有機分子も藻類や細菌の脂質に由来するものを含みます。粉末化した堆積岩から有機溶媒で抽出し、濃縮、種類分け後、質量分析器にその試料を入れて定量します。

学術上の意義

全球凍結は地球史上類を見ない極度の気候変動イベントであり、化石記録やDNA解析からは初期の動物がそれぞれの全球凍結と同時期に大きな多様化を起こしていることが示唆されるため、その進化とのかかわりが注目されてきました。

本研究による、堆積有機分子という側面からの全球凍結中およびその退氷後の生物変動に関する新たなデータは、気候変動と動物進化の関係性を考察するための包括的なモデルの構築に貢献することが期待されます。

論文掲載

表題
Marine biomass changes during and after the Neoproterozoic Marinoan global glaciation
(新原生代マリノアン氷期中・氷期後における海洋バイオマス変動)
著者
静谷あてな(福井県立恐竜博物館)
海保邦夫(東北大学)
童金南(中国地質大学(武漢))
雑誌名
グローバル・アンド・プラネタリー・チェンジ(エルゼビア)
出版日
2021年特集号に掲載されるのに先行し、2021年8月17日よりオンライン公開

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