フクイベナートルの新たな研究成果について

2022年2月17日

2007年に勝山市北谷町で発掘され、2016年に新種として命名された獣脚類「フクイベナートル」は、化石に見られる特徴が特異であることから、詳しい分類が謎に包まれていました。今回、その全ての化石をCTスキャンにかけ、詳細な観察と解析を行った結果、従来の見解よりもさらに鳥類に近縁であり、草食性として知られる「テリジノサウルス類」の最も原始的な種である可能性が高いとわかりました。

この成果は、日本古生物学会第171回例会で発表されたほか、福井県立恐竜博物館紀要第20号に掲載されています。

CTスキャンで得られたデータを用いて組み上げられたフクイベナートルの全身骨格

CTスキャンで得られたデータを用いて組み上げられたフクイベナートルの全身骨格

研究の概要

フクイベナートルは、⾻格に様々なグループの特徴がモザイク状に⾒られることから、分類学上、比較的⿃類に近縁な恐⻯であること以外はよくわかっていませんでした。今回の研究では、破損の危険性が高く、物理的なクリーニングが難しかった部分について、CTスキャンによって得られたデータ上でクリーニングを進めたことで、原記載(命名)の際に認識されていなかった新たな部位や特徴を発見しました。また、全体にわたって詳細な観察と比較を進め、分類に必要な情報を拡充し、それをもとに系統解析を行った結果、従来の見解よりも鳥類に近縁な「マニラプトル類」に含まれ、その中でも特に「テリジノサウルス類」の最も原始的な系統に位置づけられました。

テリジノサウルス類の系統関係と生息年代

テリジノサウルス類の系統関係と生息年代

学術上の意義

フクイベナートルの全身骨格を詳細に記載したことにより、世界中の研究者がさまざまな観点から他の恐竜化石と比較できるようになりました。また、フクイベナートルが雑食性と考えられることから、テリジノサウルス類は最初から草食性だったのではなく、その進化史の初め頃に肉食性から移行していったものと推定されます。このように、系統樹上での位置づけが明確になったことで、フクイベナートルの化石から得られるさまざまな情報を、進化史と関連付けて議論することが可能になりました。今後、恐竜から鳥類への進化史を探る上で重要な役割を担うことになると期待されます。


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