国内初のデイノニコサウルス類の足跡化石について

2023年2月4日

福井県立恐竜博物館では、前身の福井県立博物館時代から、勝山市北谷町の恐竜化石発掘現場で発掘調査を行ってきました。収蔵している足跡化石を再調査したところ、1989年から始まった第一次調査の3年目である1991年に採集された標本が、デイノニコサウルス類(獣脚類)の足跡であることが判明しました。デイノニコサウルス類の足跡は、北谷層からはもとより、国内で初の産出記録となります。

標本

標本数
1点
足跡サイズ
長さ8㎝、幅4.7㎝

発掘地

福井県勝山市北谷町 恐竜化石発掘現場

発見の経緯

1989年の第一次発掘調査開始以来、これまで数百点の足跡化石を採集しており、2019年から未調査の標本について研究を行っています。その中で、今まで発掘現場から未報告の形態を示す足跡化石を見出し、比較検討した結果、国内初のデイノニコサウルス類の足跡であることが明らかになりました。

特徴

一般的な獣脚類の足跡化石には指が3本ありますが、この足跡には2本しかありません。残されている指は、その特徴から第Ⅲ指(中指)と第Ⅳ指(薬指)と考えられます。また、第Ⅳ指が一般的な獣脚類に比べて長くなっています。これらの特徴から、この足跡化石はデイノニコサウルス類のものであると考えられます。

デイノニコサウルス類は一本の指を上げ2本の指を地面に着けて移動していたとされています。足跡の大きさから、この個体の全長は1.4〜1.8mほどと推定されます。

発見の意義

今回の標本は日本では初となるデイノニコサウルス類の足跡化石の報告例となります。デイノニコサウルス類の足跡化石は北半球の白亜紀の地層から発見されており、特に北谷層と同年代の中国や韓国の地層から最も多くの標本が産出しています。北谷層が堆積した時代の日本はアジア大陸の東縁の一部だったこと、北谷層の恐竜足跡化石群集は同時代の中国や韓国の群集と類似していたことから、勝山市の発掘現場からもデイノニコサウルス類の足跡が見つかることが期待されていました。

今回の発見により、アジアの他地域で見られる恐竜足跡化石群集との違いを埋めることができました。

また、過去に北谷層から産出した骨化石の一部が、デイノニコサウルス類のドロマエオサウルス科に同定されたことがありましたが、これらはフクイラプトルやフクイベナートルといった別の分類群の獣脚類であったことが判明しています。そのため、今回の足跡化石はデイノニコサウルス類が北谷層に存在していたことを示す唯一の証拠であり、福井の恐竜に新たな種類が加わることになりました。

展示公開予定

展示会名
THE恐竜in福井 〜恐竜博物館を飛び出した恐竜たち〜
展示期間
2023年4月21日㈮から5月14日㈰まで
開催場所
福井県産業会館1号館(福井市下六条町103番地)

図1 新たにデイノニコサウルス類のものとわかった足跡化石

図1 新たにデイノニコサウルス類のものとわかった足跡化石
下は足跡の輪郭を図示したもの

図2 北谷層から産出したデイノニコサウルス類の足跡化石の3D解析図

図2 左:北谷層から産出したデイノニコサウルス類の足跡化石の3D解析図
中央:同足跡の輪郭図
右:同層から産出した典型的な獣脚類の足跡化石の輪郭図

図3 デイノニコサウルス類の系統関係と生息年代

図3 デイノニコサウルス類の系統関係と生息年代

図4 前期白亜紀のデイノニコサウルス類シノルニトサウルスの生体復元模型 (参考/模型制作:荒木一成)

図4 前期白亜紀のデイノニコサウルス類シノルニトサウルスの生体復元模型
(参考/模型制作:荒木一成)


福井県立恐竜博物館
所在地:
〒911-8601
福井県勝山市村岡町寺尾51-11
かつやま恐竜の森内
TEL:
0779-88-0001(代表)
 
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