アオイ科絶滅属ワタリアの化石林について
恐竜博物館職員と北海道大学、大阪公立大学、大阪市立自然史博物館、国立科学博物館との共同研究で、岐阜県美濃加茂市の約1900万年前の地層から発見された化石林の樹種が明らかになりました。
研究の概要
岐阜県美濃加茂市の木曽川河床に露出する約1900万年前の地層中に見られる約130本の化石樹幹を調査し、それらがアオイ科絶滅種ワタリア(Wataria parvipora)であることがわかりました。また、この化石林の林床には、1種類の葉化石ウリノキモドキ(Byttneriophyllum tiliifolium)が産出することから、本研究では葉化石と材化石を包括的に検討し、現在のアフリカ中央部に生育するアオイ科のオベチェ(Triplochiton scleroxylon)と近縁であることが分かりました。
論文
- 論文名
- An exceptionally well-preserved monodominant fossil forest of Wataria from the lower Miocene of Japan(日本の下部中新統で例外的に良好に保存されたワタリアの純林を発見)
- 著者名(連名順)
- 西野 萌(大阪公立大学附属植物園、大阪市立自然史博物館)
寺田和雄(福井県立恐竜博物館 研究・展示課長)
植村和彦(国立科学博物館地学研究部)
伊藤雄氣(大阪公立大学附属植物園)
山田敏弘(大阪公立大学附属植物園、北海道大学大学院理学研究院) - 雑誌名
- Scientific Reports(自然科学の専門誌:オープンアクセスの電子ジャーナル)
- DOI
- 10.1038/s41598-023-37211-z
- 公表日
- 2023年6月22日㈭(オンライン公開)
アオイ科絶滅属ワタリアについて
当館の寺田和雄(研究・展示課長)が1998年に材化石の新属として提唱したアオイ科の絶滅種。
日本の材化石を先駆的に研究した亘理俊次(わたりしゅんじ)博士(1906-1993)に献名し、ワタリアと名付けました。
当館常設展示の生命の歴史ゾーンの新生代コーナーにワタリアの材化石と顕微鏡写真が展示されています。
新属ワタリアの提唱したときの論文
恐竜博物館ニュースDinosaurs 4号に掲載のワタリア属の記事
2001 Wataria Dinosaurus 4 (2001.11)
詳細外部リンク先
https://www.hokudai.ac.jp/news/2023/07/1900.html