中部縦貫自動車道工事で発見されたジュラ紀のアンモナイト化石について

2023年4月13日

福井県立恐竜博物館と大野市は、中部縦貫自動車道大野油坂道路の工事で排出された岩石から、後期ジュラ紀のアンモナイト化石2点を発見しました。これらは日本産のジュラ紀のアンモナイト化石としては大型のもので、大野市和泉地区の地質年代を知る重要な資料となります。

発見されたアンモナイト化石

  1. ペリスフィンクテス科の一種
    殻の直径(測定可能な最大値) 210.1㎜
  2. クラナオスフィンクテス亜属の一種
    殻の直径(測定可能な最大値) 168.6㎜

発見場所

中部縦貫自動車道大野油坂道路の川合トンネル(仮称)掘削現場

発見と研究の経緯

恐竜博物館と大野市は、2018年度から、中部縦質自動車道大野油坂道路工事で排出される岩石に含まれる化石の共同調査研究を実施しています。2020年4月10日に川合トンネル(仮称、全長2,550m、現在掘削中)の西側坑口から約311m地点の排出岩石から大型のアンモナイト化石を1点(上記1①)、さらに2020年10月22日に約377m地点の岩石から大型のアンモナイト化石1点(上記1②)を収集しました。

この調査では、他にも多くの軟体動物化石が得られていますが、これらの資料は時代未詳の大野市の地質時代を明らかにするだけでなく、東アジアにおけるジュラ紀の海棲動物群集や古海洋環境を明らかにする上で重要であるため、部出作業(化石クリーニング)を実施して調査を進めてきました。

化石の特徴と意義

⑴時代未詳の地層の年代を明らかにした

発見されたアンモナイトはいずれも後期ジュラ紀のオックスフォーディアン期(約1億6350万年前〜約1億5730万年前)に生息していた種類とわかりました。大野市和泉地区川合周辺に分布する地層は、これまでその地質時代がよくわかっていませんでしたが、今回の発見により、後期ジュラ紀の国際対比に役立つ地層があると判明しました。

⑵国内で発見されたジュラ紀のアンモナイトとしては大型である

後期ジュラ紀ではアンモナイトの大型化が知られています。国内産ジュラ紀のアンモナイト化石は通常直径10㎝以下のものが多く、今回のような大きなものはこれまでほとんど知られていません。今回の化石は、大型化したオックスフォーディアン期を特徴づける種類であり、国内ではまだ報告の無い種類です。新種の可能性を含め、今後の研究および追加資料の発見が期待されます。

一般公開予定

企画展名
福井県立恐竜博物館令和5年度企画展「THE恐竜in福井 〜恐竜博物館を飛び出した恐竜たち〜」
展示期間
2023年4月21日㈮から5月14日㈰まで
開催場所
福井県産業会館1号館(福井市下六条町103番地)

参考(恐竜博物館と大野市の化石に関する共同調査研究)

恐竜博物館と大野市は、2015年11月に、大野市から産する化石の共同調査に関する協定書を締結し、共同で調査研究を実施してきました。2018年度からは、中部縦質自動車道大野油坂道路の工事に関連した地質および化石の調査を本格的に開始し、トンネルや橋脚などの工事現場から排出する岩石から化石を収集するとともに、周辺地域における野外調査も実施しています。

標本画像

図1 川合トンネル(仮称)の位置

図1 川合トンネル(仮称)の位置

図2 川合トンネル(仮称)より発見されたアンモナイト化石

図2 川合トンネル(仮称)より発見されたアンモナイト化石。
左:ペリスフィンクテス科の一種、右:クラナオスフィンクテス亜属の一種


福井県立恐竜博物館
所在地:
〒911-8601 
福井県勝山市村岡町寺尾51-11
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TEL:0779-88-0001(代表)
TEL:0779-88-0892(団体受付)

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