酸素濃度の上昇と動物の初期進化制御に関する論文が発表されました
2024年1月14日
概要
当館の静谷研究員は、東北大学の海保邦夫名誉教授らを中心とした国際研究グループの一員として、先カンブリア時代~カンブリア紀の世界的な大気・海洋酸素濃度の変化と動物の初期進化への影響との関係性に関する論文を発表しました。
研究について
- 中国、オマーン、オーストラリアに分布する新原生代クライオジェニアン紀~古生代カンブリア紀にかけての堆積物に含まれる有機物等を分析し、当時の海洋酸素濃度および大気酸素濃度の時間変化を調べました。
- 変化はいずれの場所でも一貫したパターンを示し、この期間中において3回の世界的な酸素濃度上昇イベントが特定されました。
- これらの酸素濃度上昇のタイミングは、化石記録等から知られている初期動物の多様化の時期と相関しており、酸素濃度の変化が動物の進化速度に影響を与えたことが示唆されます。
図:約6億5000万年前~約5億年前にかけての低緯度大陸棚における大気・海洋の酸化還元サイクルモデル
論文について
- 題名
- Oxygen increase and the pacing of early animal evolution
(酸素増加と初期動物進化の速度) - 著者
- 海保邦夫(東北大学)
静谷あてな(旧:東北大学/現:福井県立恐竜博物館)
菊池みのり(旧:東北大学)
小宮剛(東京大学)
陳中強(中国地質大学(武漢))
童金南(中国地質大学(武漢))
田力(中国地質大学(武漢))
Paul Gorjan(旧:ワシントン大学セントルイス校)
高橋聡(名古屋大学)
Aymon Baud(ローザンヌ大学)
Stephen E. Grasby(カナダ地質調査所)
齊藤諒介(山口大学)
Matthew R. Saltzman(オハイオ州立大学) - 雑誌名
- グローバル・アンド・プラネタリー・チェンジ(エルゼビア)
- 出版日
- 2024年1月14日よりオンライン公開