追悼
2023年11月10日、ユワン・フォーダイス博士(Dr. R. Ewan Fordyce)がご逝去されました。ここに深く哀悼の意を表します。フォーダイス博士は海外客員研究員として、当館の海外における研究活動の一翼を担ってくださっていました。
当館との関わりは、2007年(平成19年)の特別展「クジラが陸を歩いていた頃」の開催がきっかけでした。多くの貴重なニュージーランド産化石鯨類の実物標本をお貸しくださり、開催中には特別講演をお引き受けくださいました。終了後には撤収作業にも再来日してくださるなど、特別展の全期間を通して惜しみない援助を賜りました。おかげさまで、進化史にスポットを当てたクジラの特別展としては、それ以降現在まで、その質と規模のものが日本国内で開催されたことはありません。その後、フォーダイス博士とは客員研究員を通して、長らく当館と親交を深めてまいりました。
フォーダイス博士は、ニュージーランド南島の都市ダニーデンにあるオタゴ大学の地質学部の教授を長らく務めておられ、数年前から名誉教授でありました。専門は古脊椎動物学分野としては鯨類とペンギンを主軸とし、その他に南島の地質全般に精通され、学生らの教育にも熱心に取り組まれていました。
鯨類古生物学の分野で世界のリーダー的存在であったフォーダイス博士。70年の生涯でした。博士を失ったことを誠に残念に思うとともに、心よりご冥福をお祈りします。
恐竜博物館
館長
谷川由美子