貝化石もたくさん

きれいなニッポノナイアです。
きれいなニッポノナイアです。

今年も暑い中、ハンマーとタガネの音を響かせて学生たちがハンマー隊として活躍しています。「また巻貝だ」とか、「貝ばっかり」とかいう声が聞こえます。そうした中でも「この貝はどうしますか?」と保存のいいものを見せに来ると、「おお!」と喜んでしまいます。もちろん、貝化石も採集したものは博物館に持ち帰って、研究材料となります。

勝山市北谷の発掘現場からは、恐竜化石のほかに、貝化石、植物化石、魚の化石、カメの化石、ワニの化石などが出ます。中でも貝化石はとても多く、淡水生の二枚貝や巻貝の化石が毎日たくさん採集されています。

貝化石の産出状態は、地層の場所によって違っています。第三次発掘調査までの様子をみると、フクイサウルスやフクイラプトルの産出した「化石層Ⅰ」では、プリカトウニオが多く、ナグドンギアかナカムラナイアのような殻の表面に特徴のないまるい二枚貝もたくさん産出し、次いでシュードヒリア、トリゴニオイデスが見つかります。ニッポノナイアは稀です。黒っぽい泥がちの岩相には巻貝が多く入っていますが、二枚貝は多くは壊れています。プリカトウニオは少なく、時にきれいなナグドンギアや、トリゴニオイデス、ニッポノナイアが見られます。

トリゴニオイデスの外側(左)と内側(右)
トリゴニオイデスの外側(左)と内側(右)
トリゴニオイデスの外側(左)と内側(右)
トリゴニオイデスの外側(左)と内側(右)

さて、今年の発掘で見られる貝化石は、これまでよりも層準的に上位の地層を掘っていることもあり、これまでとはちょっと違った様子です。黒っぽい岩相のところは今までと同じく、巻貝と二枚貝の破片が多いのですが、砂っぽい地層では、プリカトウニオがほとんど見られず、表面がつるっとした二枚貝が中心になっています。またそれらの二枚貝の殻の保存が非常によく、殻の内側の「歯」の構造がよくわかるのが特徴です。「化石層Ⅰ」などでの二枚貝化石では、砂や泥の付着が著しく、殻の内部の観察にとても苦労しているのです。

北谷の二枚貝化石のうち、表面に特徴のないものは、化石そのものの変異が大きいうえに、堆積後の続成変化による変形もあって、殻の内側の特徴はとても重要です。

巻貝化石の産出状態
巻貝化石の産出状態
ハンマーを振り続ける学生たち
ハンマーを振り続ける学生たち

(野田芳和)

© 2013 Fukui Prefectural Dinosaur Museum.
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