2008年度 第三次恐竜化石調査産出化石報告

2009年3月18日

2007年、2008年に実施した第三次恐竜化石発掘調査において発見された化石について、クリーニング作業により明らかになった内容を報告いたします。

参考
第三次恐竜化石発掘調査2008年度報告について(博物館ニュース)

2008年度 第三次恐竜化石調査成果の概要

2008年度第三次恐竜化石発掘調査では、新たな竜脚類の骨化石を含む約800点の脊椎動物の化石を発見した(2008年10月記者発表済)。現在、それらの化石はクリーニング作業中で詳細について調査中である。

今回は、クリーニング作業の進行により、同一個体のものと考えられる小型獣脚類の重要な追加標本を発見したことを報告する(一部の化石については2008年3月に記者発表済)。我が国では初となるドロマエオサウルス類と考えられる恐竜の「脳函(のうかん)」(脳が納められていた部分)をはじめ、頭骨の他の部位、頸椎や尾椎など、多数の骨化石が発見された。これにより、手取層群の小型獣脚類の詳細な姿が明らかになりつつある。また、今回は骨化石がほぼそろっている右脚部についての復元も行った。

調査期間
2008年7月14日から9月6日まで(55日間)
調査地
勝山市北谷町杉山 恐竜化石発掘現場
地層
手取層群北谷層(白亜紀前期、約1億2000万年前)
調査面積
約500㎡
参加人数
延べ 約900名
(福井県立恐竜博物館職員、県内外恐竜化石研究者、地質学系大学生・大学院生)
化石点数
脊椎動物化石 約800点

小型獣脚類化石について

発見された小型獣脚類化石写真
図1

小型獣脚類の化石は、第三次恐竜化石調査期間中の2007年8月21日(火)に、竜脚類化石を発見した地層から約1.5m上部の細粒砂岩層から産出した。また、これらの化石は約50cm×40cmと約50cm×55cmの一対の岩石に含まれていた。その岩石からは、上顎骨や末節骨(指先の骨)と数本の趾骨(足の指の骨)が確認されており、ドロマエオサウルス類と考えられる獣脚類の一個体の骨化石がまとまっていることが分かった。クリーニング作業により、脳函の化石や頸椎などが見つかった。また、採集していた周囲の岩石からも尾椎などが発見されている。

部位(約160点)
前上顎骨、上顎骨、涙骨、脳函(以上頭骨)、頸椎、胴椎、仙椎、尾椎、肋骨、血道弓、指骨、大腿骨、脛骨、距骨、中足骨、趾骨、末節骨など

脳函について

大きさ 3.7×5×6.7cm(高さ×幅×長さ)

意義

ドロマエオサウルス類の脳函化石は、我が国では初めての発見である(獣脚類としては2例目)。脳函は脳が納められていた場所であり、脳が化石として保存されにくいため、恐竜の神経系について知るためには貴重な部位である。脳函には脳から派生していた嗅覚、視覚、聴覚などの神経が通っていた穴が保存されており、それらから恐竜の生活様式を推測することができる。今回発見された標本は、非常に保存状態が良く、各神経の穴をよく観察することができる。今後はCTスキャン等を行い、内部の構造についても研究していく予定である。

新しく確認された小型獣脚類の脳函部
図2
確認された頭骨の部位(ドロマエオサウルスを例に)
図3

右脚部復元について

復元された小型獣脚類の右脚
図4
大きさ
高さ52cm
部位 (22点)
大腿骨、脛骨、距骨、中足骨、趾骨、末節骨

意義

右脚部については大腿骨から末節骨まで、これまで約90%の骨が発見されている。このような非常に高い割合で、恐竜の後ろ足が発見されたことは我が国では例がなく、さらにドロマエオサウルス類の後ろ足の復元をしたのは、我が国で初めてである。ドロマエオサウルス類デイノニクス(アメリカ産)を基準にすると、脚の長さから判断して、この小型獣脚類は全長約1.7mであったと考えられる。

さらに、現在までに約160個の頭骨を含む全身の骨が確認されており、全身の約60%にあたる。現在まだクリーニング継続中であり、今後さらに未確認の部位が確認できるものと思われる。頭骨を含む全身の重要な部分がすでに確認されており、今後全身骨格の復元作業に取り組む予定。

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