第四次恐竜化石発掘調査事業の成果報告
福井県では、1989年から福井県立博物館(1999年まで)および福井県立恐竜博物館(2000年から)が主体となって勝山市北谷町に分布する手取層群北谷層(前期白亜紀)において恐竜化石発掘調査事業を実施してきました。このうち、2013年〜2023年までの11年間実施した第四次恐竜化石発掘調査事業について、下記のとおり結果を取りまとめましたのでお知らせします。
概要
- 事業名
- 第四次恐竜化石発掘調査事業
- 調査期間
- 2013年〜2023年(11年間) 各年7月下旬〜9月上旬(合計 464日間)
- 調査地
- 福井県勝山市北谷町杉山川左岸(北谷恐竜化石発掘現場)
- 調査面積
- 約1,800㎡
- 地層
- 手取層群北谷層
- 年代
- 約1億2000万年前(前期白亜紀)
- 参加者
- 福井県立恐竜博物館研究職員、福井県立大学教員、県内外教員、学生など
- 参加人数
- 延べ 708名
- 採集標本総数
- 約79,000点
主な成果
- 恐竜(鳥類含む)
- その他の脊椎動物化石
- 貝化石
- 二枚貝化石の貝殻表面に模様が保存されていることを確認(2022年発表)
- トリゴニオイデスがイシガイ類であると同定し、その殻皮を発見(2022年発表)
- 巻貝化石がタニシ科であると同定し、その殻内に胎児殻を発見(2023年発表)
- 昆虫化石
- ゴキブリ類化石5種の発見(うち3種は新種) (2022年発表)
- 植物化石
- ナンヨウスギ科のアラウカリテス・キタダニエンシス(新種)の発見(2019年発表)
- 日本最古級の被子植物花粉化石の発見(2019年発表)
- 足跡化石
- 2つのタイプの鳥脚類足跡化石を同定(2018年発表)
- イグアノドン類の幼体の足跡化石の発見(2024年発表)
意義について
11年間にわたった第四次恐竜化石発掘調査では、総計約 79,000点におよぶ膨大な化石を採集するという顕著な成果を挙げることができました。そのうち約 28,000点について詳細な研究を進めています。これらの化石資料は、日本国内のみならず東アジア地域における前期白亜紀の生態系を解明するうえで極めて重要な学術的価値をもたらしました。
まず、恐竜(鳥類含む)に関しては、獣脚類ティラノミムス・フクイエンシスと、原始的な鳥類フクイプテリクス・プリマを新たに命名しました。さらに、スピノサウルス科およびヨロイ竜類の歯化石の発見により、既に新種として発表されている 6 種の恐竜に加え、さらに多様な系統の恐竜が本地域に生息していたことが明らかになりました。
また、恐竜に加え、貝化石や昆虫化石など多様な動植物化石や足跡化石といった豊富な化石資料と、堆積学的研究により古環境に関するデータが得られました。これらの結果、恐竜と共に生息していた多様な生物とそれらを取り巻く生態系が明らかになりつつあります。
近年、それぞれの生物種の進化的特徴や、東アジア地域における分布の変遷についても新たな知見が蓄積しています。これらの成果から、本地域が前期白亜紀における生物進化と古生物地理を解明するうえで、国際的にも重要な化石産出地であるといえます。
展示
第四次恐竜化石発掘調査における主な成果である標本の一部を、期間限定で展示する予定です。
- 展示する標本
- イグアノドン類の手および尻尾の骨化石
- 竜脚類の幼体の神経弓
- ワニ形類、カメ類、トカゲ類
- 足跡化石
- 昆虫化石
- 植物化石
- 展示場所
- 恐竜博物館2階 化石クリーニング室シアター前
- 展示期間
- 2026年3月24日(火)から2026年5月12日(火)まで
成果をまとめた書籍の発行
「Kitadani ―恐竜時代の福井を解き明かす―」
(2025年12月 福井県立恐竜博物館発行 全114ページ 価格 1,800 円)
1989年から実施している恐竜化石発掘調査事業を通じて明らかになった成果を網羅した一冊となっています。(恐竜博物館ミュージアムショップで購入可能)

